Rain
《ブーブーブー》

久しぶりになったお父さんからの電話だった。

二ヶ月ぶりの…電話。



あたしは出るのをためらった。

多分香織のことで電話をしてきただろうから。

でも、あの時の泣き顔が頭をよぎる。



あたしは仕方なく電話に出た。





『はい』

『今大丈夫か?』

『うん』

『あのな…やっぱり無理か?一回だけでいい。検査を受けてほしいねん』

『だから無理って言ったやろ?しつこいねん』

『頼む…知香が最後の望みやねん…助けてくれ』



助けてくれ?

あたしが助けてほしかった時、なにも気付いてくれなかったのに?

あたしはずっとひとりぼっちだったのに?
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