Rain
『お父さん…あたし我慢の限界や。もうあかん。京子貸して!!』


そう言ってあたしは京子から棒を取り上げ、倒れていたおばさんを上から見下ろした。




『お前だけは絶対許さんから…お母さんを…赤ちゃんを…絶対許さんからな!!』


あたしは気が狂ったように殴り、蹴り、頭を何度も何度も棒で突いた。



『やめ…』

おばさんは抵抗していたけど、しばらくするとぐったりして動かなくなった。


お父さんは、おびえた顔であたしを見ていた。





『分かった?人の怨み…憎しみがどんだけ醜いもんか。あたしはこれでも気がすんでないねんで…大事なもの奪われて…こんなんで済まされるはずないやんか!』


あたしがそう叫んだ瞬間、突然仮眠室のドアが勢いよく開いた。



『こっちです!』


慌てた看護婦が誰かを連れて入ってきた。



警察だ…



そこには警官二人が立っていた。






『棒を離しなさい』


警官はあたしに向かってそう言った。


あたしは黙って棒を床にほった。
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