Rain
『違…うんです…』


あたしが警官に連れて行かれそうになった時、お父さんの小さい声が聞こえた。


『はい?』

警官のおっさんは立ち止まってそう聞き返した。




『倒れてるのは私の妻で…その子は私の娘です。ただの親子喧嘩がエスカレートしただけなんで…大丈夫なんで』


お父さんの言葉を聞いた警官と近くにいた看護婦さんは目を丸くしてビックリしていた。




『そうでしたか。ほんならいいんですね?君もあんまりムチャしたらあかんで、お母さんは大事にせんと』


そう言って警官はつかんでいたあたしの腕を離すと、足早に帰っていった。


しばいたろかあのおっさん…









でも不思議だった。


お父さんが…

あたしをかばってくれたことが。
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