Rain
あたしはお父さんのいる仮眠室に向かった。


もう体は大丈夫だったし、少しお父さんと話をしたかった。







お父さんは何を想ってあたし達を捨てたのか。


何が大切であの人達を選んだのか。


それで後悔しなかったのか。




お母さんを…
あたしを…

愛してなかったのか。






ずっと聞けなかった言葉が今なら言えるような気がした。









お父さんの仮眠室には、廊下側に窓みたいなものがついている。


そこには内側からブラインドが付けられているけど、廊下からも少し見えるようになっていた。




この時も、ノックする前にいるかいないのか一回のぞいてから入ろうとしていた。




でも…あたしの目に映る。

泣き崩れるお父さんの姿が吸い込まれるように瞳に入ってきた。




おと…うさん…


病室に来たときに見たあの笑顔は、もう跡形もなかった。



何で…
何で泣いてんの?
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