Rain
ふと携帯に目を向けると聖夜くんにもらったあのイルカのストラップがついてる。

それを見て…思った。


なんで聖夜くんには彼女がいるの?

なんで彼女は…聖夜くんにあんな顔させるの?



(ブーブーブー)

ボーっとしていたあたしをケータイのバイブが呼んだ。




━着信 聖夜くん━


えっ?
聖夜くん?
うそやん…



ドキドキしながら携帯を持った。



『もしもし…』

『知香ちゃん?大丈夫?』

『うん全然平気ぃ』

『良かった。大丈夫ちゃうって言われたら仕事終わったらお見舞い行こうかと思ってたわ。なんちゃって』

『えっ!?あ…えっ!?』

『ハハッ可愛いなぁ』



なんだか無性に腹が立った。冗談なのはわかってたから。





『じゃあ来てよお見舞い。大丈夫じゃないもん』


『あ…ごめん。今日はあかんねん。ごめんな』





ズキン…

なんでこんなに苦しくなるん?

心が…痛くなる。



『ハハッ、嘘やで♪びっくりしたぁ?ちょっと聖夜くんドキッとしたんちゃうんー』




必死だった。
声は元気に笑ってた。




聖夜くんは…
彼女が大切だもんね。
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