朝陽のもっと向こう側
祐司「まぁ、それもそうだが・・・すまん、言葉が足りなかったな。 君たちだけに留まらず、すべての人だと思っていいかもしれない」

あゆむ「・・・?」

祐司「・・・どれだけ笑顔を見せてくれても、受け入れられていないのは・・・淋しいものだけどな」

祐司「美緒は他人を受け入れることが難しい。 君が病院に来ることも、彼女には負担になってしまうんだ」

あゆむ「え?」

祐司「結局のところ、俺も君と変わらない」

何を言っているのだろう。

祐司「君はどうするつもりだ?」

あゆむ「どうする・・・というのは?」

祐司「何も受け入れられない少女に、君に何ができる?」

さっきから、まるで僕を試しているような口ぶり。
やっぱり僕は、この人が苦手らしい。

あゆむ「美緒が望んでいないのなら、何もしませんよ。 その方がいいんでしょ」

祐司「・・・そうか。 すまない、長くなってしまったな」

そして急に彼は僕に背を向けて歩き出した。

置き去りにされた僕は彼が見えなくなるまで動くことが出来なかった。

あゆむ「・・・何なんだよ、いったい」

僕も彼と反対方向に歩き出した。

・・・

・・・

東都病院1階ロビー。

祐司「・・・」

祐司「まだ何も始まっていない。 だけど・・・」

祐司「終わりは刻々と近づいてくる・・・」

祐司「・・・」

祐司「時間がないんだ・・・」

・・・

・・・
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