my name
「はいどうぞ!」
「そこ置いといて」
赤木君はベッドに転がり、お姉ちゃんの漫画を読んでいた。
はあ?ありがとうって言えー!
机の上にコップを置いてさっさと部屋から出ようとすると。
「おい」
と呼び止められた。
「お前分かってんの?反抗してもバラすかんな」
「はい…」
赤木君ってやっぱりやなヤツ。
「お前何で学校でヒロって呼ばれてんの?」
赤木君が漫画を閉じてベッドに座り直して、こっちを見た。
「え、下の名前で呼ばれるの苦手だから…」
「ふーん。親に呼ばれるのは平気なのに?」
「親は小さい頃からだし…」
「あぁ。じゃあ俺も空でいいか」
赤木君の口から『空』と聞いた瞬間寒気が走った。
今あたし苦手って言った!
「い、嫌がらせもするの?」
「俺がそう呼びたいから呼ぶんじゃん」
「で、出来れば違う呼び方で…」
「やだ。俺のことは亮佑でいいからさっ」
赤木君の呼び方なんてどうでもいいんだよ。
やだってどういうこと!?
「はい!亮佑って呼んでみ?」
「え…。りょ、りょうす…け」
そしてなんで呼ばされてる!?