my name
映画の予告がテレビの画面に映し出された。
そしてまたあたしの隣にピタッとくっつく。
慣れてるなぁ。
さすがあんな噂が流れるだけはある。
あのお昼の空き教室で女の子とイチャイチャしてるのかな。
うー。汚らわしいぃぃ。
って今あたしもこれはイチャついてる?
いやいやいや!
勝手にくっついて来てるだけだし。
「俺の下の名前は知ってた?」
「亮佑でしょ?」
「違くて。前から知ってたか聞いてんの」
「うーん。知ってた、かな?」
「微妙かよ!」
本当ははっきり知ってたんだ。
でも1番苦手だから知ってたなんて口が裂けても言えない。
言ったら怖いよ。
「ねみー」
え?今本編始まったばっかりじゃん。
自分から見るって言ったくせに。
「止めて寝る?」
あたしは見たいけど。
「んー」
ズルズルと座高が低くなったかと思ったら、コテンと赤木君の頭があたしの肩に乗っかった。
「ぅえ!?」
髪の毛が首に当たってくすぐったい。
「赤木くーん」
「ち…がーぅ」
眠たくてもしっかりいちいちうるさいね。