二度目の初恋。
(…とりあえず最初はパソコンとにらめっこだな。)

なんて今後の段取りを考えながら歩いていると急に粋が騒ぎだした。



(………あ。)


学食の前の広場。
女子が何人かで笑いながら話している。


その中に君はいた。


今日も…君は笑っていた。


『おいおいっ。あの子だよ、境教授も本気になったって子。あの篠井ちゃんでも告ったけど振られたらしいし。』

噂で持ちきりの君を見つけ興奮気味に粋は話始める。


(…全部知ってるよ。)

俺は心の中で小さく呟いた。


『…いや~ホント可愛いわ。』

『…あ、あぁ。あの子…篠井もだったけか?』

俺は胸の奥がぎゅうっと痛くなるのが分かった。


こうやって君の横顔を見ていると、いますぐ駆け寄って抱き締めたくなる。

それができないのは分かっているのに。

君を見つけてしまうと馬鹿な妄想は止まらない。


俺は広場のほうから目を逸らし、粋に早く製図室に行こうと腕を引っ張った。

< 3 / 11 >

この作品をシェア

pagetop