二度目の初恋。
…………。
数秒間の沈黙を破って粋が俺の顔の前で両手をバタバタさせた。
『お~い。固まってるぞぉ。これじゃあ、いくら女嫌いでも無愛想すぎんぞ。』
『そうだったんだ。いきなり手までにぎって悪いことしちゃったね?』
美和も申し訳なさそうに俺の顔を除き込んできた。
それでも俺はどう対応していいか分からず無言のまま動けなかった。
粋が軽く咳払いしながら服を整えて美和に一歩近づいた。
『ごめんね?こいつ女の子に免疫なくて緊張してるみたい。』
あからさまに美和を意識している様子の粋に俺は条件反射のように嫌悪感を覚えた。
『ううん?こっちこそ。プリント無くさなくてよかったね。』
美和が粋に笑顔を返す。
美和と普通に話せる粋が羨ましく思えた。
久々に見る美和の笑顔。
笑い声。
小さなくせ。
制御が効かない頭の中がぐちゃぐちゃになる。
想いが溢れそうになる。
もうどうしていいか…気持ち悪いくらいに思考が俺の頭の中を巡っている間も美和と粋は話し込んでいた。
俺は何を話しているかなんて聞いちゃいなかった。
耳に入ってこなかったんだ。
たまにちらちら俺のほうにも笑顔を向ける美和が眩しくて。
切なくて。
悲しくて。