feather ~海の彼方~

そして、一際、異彩を放つ漆黒のグランドピアノ。


私は、フロアの中央に置かれたピアノへ歩いていく。

その、黒光りする表面に施された、金色の文字。


『STEINWAY&SONS』―――――

神々の楽器、と称されるこのピアノの音色は、比類なき響きとも言われる。

その中でも最高峰のD-274。


「凄いねカイ。向こうの部屋はベーゼンドルファーだし、こっちはスタインウェイだし。」

「でも両方とも親父のだよ。俺、ピアノ弾けないし。」

「えっ?カイってピアノ弾けないの?こんなにいいピアノなのに」


勿体ない。

そう言った私に、カオルさんが答えた。


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