欠陥ドール
だけどカナンが言おうとしていたのはそんな事じゃなくて。
「俺とお前は同じドールだけど、能力も違えば用途も違う」
カナンの翡翠みたいな瞳の中にあたしが映るほどの真剣な眼差し。
あたしの心臓は嫌な音をたてて加速する。
「本来、ドールは人間の為に造られた生命」
「カナン、難しい話は嫌い」
ううん、違う。その話は嫌い。聞きたくない。
だって胸がざわざわして、ぎゅっと締め付けられてるみたいに痛くなる。
「いいから聞け」
でもカナンはやめてくれない。何で、嫌だって言ってるのに。カナンは意地悪だ。
「姿形は人間と同じでも、所詮は人間に造られたモノ。人間の所有物なんだ」
本当に意地悪だ。
だってお父さんはそんな事言ってなかったもん。