欠陥ドール


かなりの薄着で飛び出してしまったけど、夜の冷たい空気なんて全然平気だった。



それよりも、胸の奥が熱くてしかたない。



心臓がドキドキいって、つい足速に歩いてしまう。



そう、これは嬉しいっていう感情だ。あたしはリタに会えるのが嬉しい。



だからこんなにも足どりが軽い。



そして、着いたのは人の気配のしない裏庭の奥にある温室。



そこがあたしとリタの秘密の場所。



あたしはゆっくりと温室のドアを開けて、そっと足を踏み入れる。



足元の電灯が、ぼんやりと光っているだけで薄暗いそこは、絶好の秘密基地。



実際、昔はリタと何度もそうやってして、二人で隠れて遊んだ。
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