欠陥ドール


こんなんじゃ、またカナンに怒られてしまいそう。


いつもなら、少しでもリタと一緒にいたいと思うのに。でも、今はダメ。こんな綺麗な人が近くにいると、自分の土で汚れた服が恥ずかしくて、しかたない。


あたし、こんな汚い格好で平気でリタと会ってた。何とも思わなかった。


でも、こうやって華やかな彼女と対比されてようやく分かった。自分の立場というものを。


「おいくつかしら?」


まるで子供に話しかけるような口調に少しムッとなってしまう。


「……15になります」


「そうなんですの!?あんまり可愛いらしいものですからてっきり12、3歳くらいかと!」


その一言に何故か顔がカッと熱くなる。

クスクスと手を口にあてて笑う仕種すら、馬鹿にされているみたいで悔しかった。


さっきからユラハが前に出てくるせいで、リタは気まずそうに後ろで見てるだけ。


なんなの。この焼け付くようなざわざわした気持ち。もう嫌だ。ここにいたくない。逃げたい。


そして俯くあたしの耳に入ってくる、よく知った声。無性に縋り付きたくなる。


「……リタ様、屋敷を抜け出してなにをやっているんですか?」
< 47 / 60 >

この作品をシェア

pagetop