欠陥ドール
こんなんじゃ、またカナンに怒られてしまいそう。
いつもなら、少しでもリタと一緒にいたいと思うのに。でも、今はダメ。こんな綺麗な人が近くにいると、自分の土で汚れた服が恥ずかしくて、しかたない。
あたし、こんな汚い格好で平気でリタと会ってた。何とも思わなかった。
でも、こうやって華やかな彼女と対比されてようやく分かった。自分の立場というものを。
「おいくつかしら?」
まるで子供に話しかけるような口調に少しムッとなってしまう。
「……15になります」
「そうなんですの!?あんまり可愛いらしいものですからてっきり12、3歳くらいかと!」
その一言に何故か顔がカッと熱くなる。
クスクスと手を口にあてて笑う仕種すら、馬鹿にされているみたいで悔しかった。
さっきからユラハが前に出てくるせいで、リタは気まずそうに後ろで見てるだけ。
なんなの。この焼け付くようなざわざわした気持ち。もう嫌だ。ここにいたくない。逃げたい。
そして俯くあたしの耳に入ってくる、よく知った声。無性に縋り付きたくなる。
「……リタ様、屋敷を抜け出してなにをやっているんですか?」