Love×Lovers~秘密の婚約者~
「『え・・・」』
私と先生の声がリンクした。
『・・・あぁ。悠梨愛、秦さんとお父様のところへ行ってきな。・・・誠も。』
認めた。
お兄様が、私の婚約者が誠さんだと認めた・・・
『ちょっと、待って下さい。俺は悠梨愛に婚約者がいたとは聞いてません。』
くぐもった声が隣から響いた。
「秦さん?」
『とにかく、行ってきて下さい。私にはどうしようもないんです。』
『悠梨愛、行こう。』
誠さんが静かにそう言って、手を差し伸べてきた。
無意識にその手を取ろうとすると、腰から押さえられた。
『申し訳ない。俺の婚約者に触らないで下さい。』
ぐっと力強く、先生のもとへ引き寄せられた。
その腕は優しかったけど、声には敵意が籠っていた。
先生の顔が近くて、ドキドキする。
『失礼。ですが・・・そう言えるのも今のうちですよ。』
誠さんの言葉はいったいどういう意味だろう?
勝ち誇ったような苦笑と話し方。