雪に埋もれた境界線
 次に一階の見取り図を見ると、食堂の前の扉がキッチンである。廊下を左に進むと十字路になっており、真っ直ぐ進めば玄関ホールに出る。最初の十字路で左に進むと突き当りが階段、左側二つは、給仕をしていたメイド二人の部屋だ。右に扉はないがサロンと書いてある。サロンへ入るには玄関から入ってすぐ右側の扉である。キッチンの隣にお風呂やトイレ、倉庫があるのだが、こちらは二階へ上る階段とは逆方向に進み、右側の一番奥にお風呂やトイレ、次に倉庫だ。左側は応接間なのだが入り口はなく、サロンと同じく玄関を入ってすぐ左側の扉である。三階もあると云っていたが、入るのを禁止されているため、見取り図には載っていない。おそらく三階に執事の磯崎や、黒岩玄蔵の部屋があるのだろう。

 まるで迷路みたいだ。

 陸だけでなく、他の者達もじっくりと屋敷の見取り図を眺めていた。

 すると、磯崎は更に説明を続ける。


「バス、トイレは、各自お部屋にも備えられておりますが、大浴場が良いと云う方もいらっしゃると思いますので、一階の大浴場をお使い下さっても結構です。男性、女性といらっしゃいますが、一階の浴室は男性用、女性用と別れておりますので、お好きな時間にお使い下さい。明日の朝食は、午前八時に食堂にお集まり下さいませ。面接は午前十時から、お一人づつお呼び致しますので、それまでは自由にお過ごし下さい。もし何か分からないことがございましたら、使用人に何なりとお申しつけ下さいませ。お部屋のカギはこちらに置いておきますので、各自なくさないようご注意下さい。では、私はこれで失礼致します」


 説明を云い終え、食堂のテーブルに部屋番号が書いてあるカギを置くと、磯崎は食堂を後にした。


< 17 / 95 >

この作品をシェア

pagetop