姫と竜 *王子が誘拐*
朝日がエリーゼの瞼を動かし起こす──…
清々しい空気の清んだ朝。
でも…
3日3晩 草木の中を歩き続けた時よりも
体は、はるかに重かった。
のそりと、冬眠から目が覚めた様にゆっくりと立ち上がり、支度した。
コンコン
「エリーゼ 仕度は出来たか?」
「……。」
部屋をノックしたアクトは返事のない事に少し戸惑ったが、それに構わずに扉を開けた。
中に居ることは分かっていたから…
「勝手に入ってこないで。」
入った瞬間、突き刺さる様な言葉が飛んで来た。
アクトは胸を締め付けられながらも、
要件を手早く説明した。