姫と竜 *王子が誘拐*


「今日の葬儀は式典とは名打っているが、式典は本来、数人の死者の為に行われるものではない。個人の葬儀に王家の皇太子が出向く訳には……。」



そこで言葉は止まった。


エリーゼの心と瞳は、尋常では無い程の怒りに満ち溢れていたから…



「そんな顔…しないでくれないか。自分が冷酷な殺人鬼にでもなった気分だ…」



エリーゼはハッする。



「そっそこまでは……言って…ない…わ」




そう言いながらアクトの顔を見て、ふと昨日の渡り廊下での出来事を思い出し、エリーゼは口ごもってしまった。






その時──

アクトの肩越しに人影が見える。



「あまり、貎下を苛めないであげて貰えませんか?」


白銀の髪に端麗な顔立ち、スラッと伸びた体。




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