姫と竜 *王子が誘拐*
14話 ひとときの幸せ
「───食べないのか?」
窓の外を見つめたまま動かないエリーゼに
アクトは声をかけた
「欲しくないの。」
夕食にと、
美しく彩られた食事達は既に
色褪せ始めている。
カチャ
アクトはその頃、
右手に持ったフォークで料理をつついていた。
「奇遇だな。」
エリーゼが驚きに振り返る。
アクトは一時間前と変わらない姿で、料理をつまらなそうにもてあましていた。
[意外…。もっと図太い人だと思ってた。]