姫と竜 *王子が誘拐*
「──皇太子なのだから、欲しくなくても食べないと駄目よ。倒れてしまうわ。」
思わぬエリーゼの優しい問いかけに、アクトは手を止め微笑んだ。
「そなたが食べるならば我も食べよう。」
微笑みながら 甘い声で優しく囁く──
エリーゼには悪魔の囁きの様に聞こえる。
「本当に欲しくないの。胃が受け付けないのよ。」
「我もだ。」
………はぁっ。
大きな溜め息をついたエリーゼは
アクトの遊んでいるフォークを無理矢理奪いとり、料理を口に押し込んだ。