姫と竜 *王子が誘拐*
8話 戸惑い
チュン チチチ…
鳥のさえずりが聞こえ
眩しい日差しがエリーゼのほほを叩いた。
少し冷たい澄んだ空気が
今は冬なのだと体に告げる。
「……寒。」
…そう言って体に掛かる布を引き寄せた時、エリーゼはある事に気付きはっとした。
アクトの上着を離さないよう握り締めはおっていたのだ。
混乱と動転でパニックになりエリーゼは飛び起きる
「…!! ☆?!?……??信じられない!不覚だわ。」
肉親と離れ淋しさを感じたのだろうか…握りしめた服はヨレヨレになっていた。
あり得ないと、首を横に振り辺りを見回すと 足元に美しいターコイズのドレスが置かれている事に気付いた。
シルクのような手触りに流れるようなデザイン。蒼く気高く美しいその色はまるで、王族の威厳を輝かせるかのような重厚感に溢れていた。宝石などは殆ど無いものの、一目見て王族が着ると分かるような高級品だった。
「……。」