この腕の中で君を想う
「ああ、やり方は間違った。だけど、お前は俺の名前を覚えていた。憎らしそうに俺を見た」
「…何が言いたいの?」
「その時だけは、あの男の事を考える暇がなかった筈だ」
「………」
意表をつかれたのか
佐藤は口をキュッと閉じて下を俯いた
チッ…チッ…チッ…チッ…
時計の秒針の音が、静かなリビングに鳴り響く
「……冬夜」
「…え?」
「元彼の名前。冬夜って言うんです」
少しの間が空いて、佐藤は絞り出すような声で話始めた