この腕の中で君を想う
 


「…増田さんグルだったりしませんよね?」




思えば私と白山のキスを目撃したのにもかかわらず何も反応を示さなかった

仮に増田さんや白山が遊び人だったとして、こういう光景を見慣れているとしても

知り合い同士なんだし何らかのアクションを起こすはずだよね


…できればこの推理は外れて欲しい

お願いだから違うと言って!!

私は期待を込めた瞳で増田さんを見つめた

「それは…ね」

増田さんは屈託のない笑みを浮かべると






「眞理ちゃんのご想像におまかせします♪」


と、言った




「………」

嗚呼

そうだったのか

最初から助けてくれる者なんて誰もいなかったんだと気付いた



夏に向けて木々が青々と茂ってきている

今日このごろだった


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