ストーカークラブ
 しばしの沈黙を破り、陽一が絞り出す様な声で言った。


「これって、どういう意味なんだ……。順君が好きなのは、美奈ちゃんじゃなくて信太なのか? そうだとしたら、脅迫メールとボイスチェンジャーの内容は辻褄が合うよ」


「でもさ、俺は女じゃないんだぜ。男が男を好きだっていうのか? まぁ好きにも色々な意味があるから分からね〜な……」


 信太と陽一が話してる最中にも、順からのメールと自宅の電話は鳴り続けている。メールには、返信しろ、電話に出ろなど執拗に迫り、正気の沙汰とは思えなかった。

 それから携帯を受信拒否設定し、自宅の電話はコードを抜き、一切対応せず、信太と陽一は一晩中飲み明かした。

 すぐ近くに黒い影が忍び寄る事に気付きもせず……。

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