ストーカークラブ
第十章 掲示板の住人
 信太と陽一は、あの三人と、よく隣りの席になった事がある卒業生達に片っ端から連絡を取り、何人かに話しを聞く事が出来た。

 そこで分かったのは、三人が携帯で同じサイトを見ていた事。そのサイトにそれぞれ何かを書き込んでいたらしい事。信太が休みの日には、三人が特別会話もせず、それぞれ携帯をいじっていた事だった。

 そしてそのサイト名は「ストーカークラブ」というらしい。

 話しをしてくれた卒業生達は、たまたま講義を聞いている最中、三人の携帯が目に入っただけで、特別仲良くない事もあり、その事について話しかけた者は誰一人としていなかった為、噂のレベルだが、信太達は藁をも掴む勢いでネットカフェに直行した。

 そして、すぐに「ストーカークラブ」というサイトを開いてみた。


「ストーカーとは、自分では気付かないうちに愛情の形が歪み、一方的な思い込みを持ち、感情を相手にぶつけてしまう。相手に拒絶されればされる程、今度は憎しみに変わり、相手も自分も傷つくでしょう。そうなる前に、もう一度考えてみて下さい。あなたの愛は一方的に相手に押し付けていませんか?」


 ストーカーを立ち直らせる目的のサイトらしい。
 何で三人はこんなサイトを見てたんだ?


「信太、確か三人は書き込みしてたんだよな? この下にある掲示板クリックしてみろよ」


 カチっ。

 掲示板が開き、過去ログから読んでいくと、そこにはおそらく三人が書き込んだであろう世界が、不気味に浮かび上がっている。

 よく登場し、書き込みをした全員に返事をしているのが(白馬の王子)って奴だ。
 こいつは明らかに狂っている。

 この「ストーカークラブ」というサイト管理人の意向とは真逆で、ストーカーを増やそうとしている様な、もしくはストーカーを正当化している様な悪意が感じられる。

 (白馬の王子)ではなく、ストーカー王子ではないのか? と思わず信太と陽一は顔を見合わせ苦笑した。

 この悪意のある書き込みの度に、サイトの管理人が必死で説得している。しかし(白馬の王子)は全く動じない様子。







< 27 / 43 >

この作品をシェア

pagetop