ストーカークラブ
 日曜日になり、信太は一人公園に向かった。正確には一人ではない。陽一が少し離れた所に居る。

 公園に着くと、紫の毒々しいコートを着た美奈子が待っていた。

 信太の姿を見付け、すぐに走り寄って抱きつき、腕を首に絡めてきたが、信太は美奈子の腕をやんわり解き、「別れてくれ」とハッキリ言った。

 すると、美奈子は全く動じず笑顔のまま。


「冗談きついよ〜。信太と私は愛し合ってるんだから、ずっと離れる事ないに決まってるじゃん」


 信太はもう一度低い声で「別れてくれ」と言った。


「何度も嫌な事言わないで信太。きっと私に会えない期間寂しかったから、すねてるんでしょ?」


 話しにならない。

 しばらく奇妙なやりとりが続き、信太が「別れてくれ」の言葉しか発しないのに腹を立てたのか美奈子は突然掴みかかってきた。



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