王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
癒しと攻撃の両方を持つ短剣。先日のコボルドとの戦いにも、この短剣が使われた。
用途に応じて、短剣を媒介し魔法を放つ。その方が精神力を無駄に使わなくて済む。
それぞれ個人差はあるが、サナにはその方法が最良だったらしい。
「貴殿は彼の事が好きなのだな」
「はい。とても」
兄みたいな人です。
「さすがに父だというと怒られそうだし」
「はははっ」
ジェイドはその言葉に、彼には父がいないのだと悟る。
「僕は、早くに両親を亡くして長老さまやベリルに色々と教わりました」
「!」
「強く生きる事も、彼に学びました」
サナの瞳は真っ直ぐに前を見つめる。揺るぎない心。
ベリルと同じ強い瞳に、ジェイドは目を細めた。
空を仰ぐ事の多い流浪の民の目には、何が映っているのだろうか。
この世の行く末か、討伐に選んだ者への希望の光か……ジェイドも天に目を向ける。
「……」
討伐に選ばれた戦士たち。彼らに希望を託すしか……今の私には出来ぬ。
ジェイドは奥歯を強く噛みしめた。
用途に応じて、短剣を媒介し魔法を放つ。その方が精神力を無駄に使わなくて済む。
それぞれ個人差はあるが、サナにはその方法が最良だったらしい。
「貴殿は彼の事が好きなのだな」
「はい。とても」
兄みたいな人です。
「さすがに父だというと怒られそうだし」
「はははっ」
ジェイドはその言葉に、彼には父がいないのだと悟る。
「僕は、早くに両親を亡くして長老さまやベリルに色々と教わりました」
「!」
「強く生きる事も、彼に学びました」
サナの瞳は真っ直ぐに前を見つめる。揺るぎない心。
ベリルと同じ強い瞳に、ジェイドは目を細めた。
空を仰ぐ事の多い流浪の民の目には、何が映っているのだろうか。
この世の行く末か、討伐に選んだ者への希望の光か……ジェイドも天に目を向ける。
「……」
討伐に選ばれた戦士たち。彼らに希望を託すしか……今の私には出来ぬ。
ジェイドは奥歯を強く噛みしめた。