六人に届いた手紙
「それもあるし、上手く言えないけど私も生きている人間の仕業だと思うよ。友達を疑いたくないけど、私の推理話すね! まず加奈の名前を使って手紙を出したり、旅館の予約するのは誰でも可能だよね? 後、信太や翔が見た加奈って、あの金髪のカツラを着けて変装した誰かじゃないかな? 遠目には顔まで見えないはずだから。朋子の脱衣カゴにカツラを入れる事が出来たのも全員可能だよね? あの時みんな一度部屋に戻って着替えとか取りに行ってるし。更に、脱衣所で置き去りにしたカツラを、こっそりしまって箱に入れ、フロントに持っていく事もみんな可能だよね? そういえば、ビール調達しに行った時、一瞬だけど廊下を走り去る人影を見て、丁度大浴場から恵子が出てきて二階に着くと、女将さんの後ろ姿が見えたんだよね。あれって女将さんが朋子達の部屋に、あの箱を届けた直後だったのかも。そしてあの箱に貼られたメモ、部屋番号の所だけ、ボールペンだったのが変だなと思ってたんだけど、部屋番号だけは旅館に来なければ分からなかったんじゃないかな? それにあの箱には誰か一人を名指ししてるわけじゃないし、二0六号室には、朋子と沙也加の二人が居るわけだから、受け取ったのが、たまたま朋子だっただけなんじゃないかな? カードに書いてあった『私は殺された』の意味もまだ分からないけど……。カツラを部屋に投げ込んだのは、私と幸子は絶対犯人から除外されるよね? だってその時、私達はこの部屋から出ていないし、朋子の悲鳴で廊下に飛び出したわけだから……」



「優子の推理聞いて、私も考えまとまってきたよ。私達の中に、加奈が自殺ではなく殺されたって考えてる人物がいたとして、加奈を殺した犯人を、あらかじめ知らなかったんじゃないのかな? ここに来て何らかの方法でそれを知って、それが朋子だと仮定して考えると、カードのメモを用意してた時点では、部屋番号だけを空欄にしておいて、犯人が疑ったのは朋子だったから二0六の部屋番号だけを、後からボールペンで書き足したんじゃないかな? 加奈が亡くなって十一年目の命日に集められたのは、何かがあって、加奈が殺された事実を知ったから? カツラを部屋に投げ入れたアリバイの件に関しては、アリバイがないのは一人しかいないよね……」


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