六人に届いた手紙
 また悲鳴が聞こえた。あの声は朋子だ!

 優子と幸子が部屋を飛び出すと、恵子も丁度飛び出してきた。
 あれっ亜紀が居ないと思ったが、急いで朋子達の部屋に入った。すると沙也加の姿もなく、朋子が腰を抜かして震えていた。そして朋子の布団の上には、金髪のカツラが落ちている。


「朋子! 何があったの? 沙也加は?!」


 優子が早口でそう訊くと、朋子はゆっくり話し始めた。


「沙也加は、温泉に浸かりに行こうって言ったけど、そんな気分になれなかったから、私は行かないで横になって、うとうとしてたの。そしたら急にドアが開いて、金髪のカツラが飛んできたの」


 誰がカツラを投げたかは見ていない様だった。
 そこで、亜紀が居ない事を恵子に訊くと、


「亜紀もね、温泉に浸かりに行こうって誘ってくれたんだけど、私は疲れちゃってたから行かなかったの」


 しばらくみんなで話しをし、沙也加と亜紀が戻ってきたら、優子と幸子の部屋に集合する事になった。

 一旦それぞれの部屋に戻り、優子は幸子に、さっき考えていた疑問点や考えを話した。


「私も優子と同じ事考えてた。まだ分からない事だらけだけど、さっき朋子の部屋にカツラを投げ入れた犯人は、紛れもなく幽霊じゃないよ」


「えっ、何で幽霊じゃないって断定できるの?」


 優子が不思議そうな顔をして訊くと、


「幽霊ならわざわざ音立てて、普通にドア開けないでしょ! 幽霊なら通り抜けられるはずじゃない?」


 説得力があるんだかないんだか、自身満々で幸子は説明する。優子は幸子と話すうちに考えがまとまってきたので、推理しながら話した。


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