六人に届いた手紙
 そして優子は亜紀の携帯に電話をかけた。亜紀も自宅に電話を置いていないのだ。

 亜紀は、皆がグレていた時代でさえ一番大人っぽくて、落ち着いた雰囲気があった。背は優子と同じくらいで、今は東京でスーツを着こなしバリバリのキャリアウーマンだ。


「あっ亜紀? 加奈から手紙届かなかった? 今みんなに電話して訊いてるの」


「きてるきてる。これって誰が出したのかな? 加奈……じゃないしね」


 手紙の差出人は亜紀でもない様だった。

 ふと、亜紀の電話越しに何かの音が聞こえた。


「あっ、亜紀もしかして仕事中だった? ごめんね」


「ううん大丈夫。もう帰る所だから。手紙誰が送ったかもし分かったら教えてくれる? 切符まで入ってたし、お礼言わなきゃならないでしょ。じゃまたね優子」


 相変わらず亜紀は律儀である。

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