幸せな結末
「でも、一也さんらしい」

美羽ちゃんが言った。

「古典的でも、一也さんが好き」

チュッと、不意打ちで美羽ちゃんが俺の唇を奪った。

ほんの、少し触れただけだけど。

と言うか、反則もいいところだろ?

そう思っていた時、後頭部にパコンと衝撃が襲った。

あー、背中に感じるブラックオーラで誰がきたかわかったよ。

「若宮、書類を届けろと言ったはずなんだが」

はい、正解は課長でしたー…って、いつの時代のクイズ番組の司会者だ。

「か、一也さん…お仕事、頑張ってね」

課長から放たれているブラックオーラに怯えているのか、美羽ちゃんはガタガタと震えている。

「あ、ああ…」

俺たちは離れると、課長の前を立ち去った。

書類を届けた後で課長から大目玉をくらわれたのは、言うまでもない話である。
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