幸せな結末
「本当は、言い足りないくらいにいろいろと言うことがあったのに…。

殴り殺してやりたいくらい、彼を恨んでいたのに…。

なのに、私は何もできなくて…」

震える声で言った美羽ちゃんを、
「もういいから!」

さえぎるように、俺は止めた。

「話はわかった。

美羽ちゃん、つらかったんだね。

嫌な思いをたくさんしたんだね」

そう言った後、俺は美羽ちゃんを抱きしめた。

「今度は、俺が美羽ちゃんを大事にする」

俺のセリフに、美羽ちゃんはプッと吹き出した。

「何がおかしいの?」

それ以前に、何か変なことを言ったか?

そう思った俺に、
「セリフが古典的…」

笑いをこらえながら、美羽ちゃんが言った。

言われた俺は何も言えない。

そんなに古典的か?
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