幸せな結末
「すみません…」

俺は小さな声で謝る。

逆らったら怖いからだ。

もう少し言うなら、クビになりかねない。

「東雲主任に、この書類を届けてくれないか?」

課長は丸めた書類を引き伸ばすと、俺に渡した。

「今日は重大な会議があるのに、忘れて行ったんだ」

ため息混じりに課長が言った。

主任の東雲恭吾(シノノメキョウゴ)は、甘いルックスとマジメな仕事ぶりが印象的な男だ。

課長同様、エリート街道一直線である。

「わかりました」

俺は書類を受け取ると、急いでオフィスを後にした。

「はあ…」

オフィスを出ると、俺は息を吐いた。

イケメンで仕事ができると言うのは、俺だって認める。
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