幸せな結末
手が震えているのが、自分でもよくわかった。

声をかけたくても、唇を動かすことができない。

足も前に進んでくれない。

「若宮、何してる?」

その声に、俺の躰がビクッと震えた。

「…課長」

出てきた声は、異常かと思うくらいにかすれていた。

「まだ、書類を届けていないのか?」

課長の問いかけに、俺は何にもできない。

返事もできなければ、首も動かすことができない。

「んっ?」

課長の視線がその光景をとらえた。

「なかなか似合ってるな、あの2人」

おそらく、美羽ちゃんのことを差しているのだろう。

同時に、周りにはそう見えるんだなと俺は思った。
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