幸せな結末
そんな彼をかわいいと思っている私は、意外にもSな性格をしているのかも知れない。

それにしても…気がつかなかったけど、一也さんの私服もおしゃれだった。

普段はスーツ姿しか見ていないからだ。

紺のシャツに白のVネックのセーター、黒のジーンズ。

そのうえから、薄手のコートを羽織っている。

スーツもかっこいい人は、私服もかっこいいのね。

「あ、言い忘れてたけど」
と、一也さんが思い出したように顔をあげた。

「今日の服、かわいいよ」

その瞬間、私の顔はボッと火が点いたように紅くなった。

か、かわいいって…。

お気に入りでまとめただけの格好なのに…。

私の顔は、燃えているんじゃないかと思ってしまうくらいに熱かった。

や、焼け死にそう…。

いや、死んだら困るけど…。

私がそう思っていたら、バスは水族館に到着したのだった。
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