妄想な彼女



先輩A「アタシ達ね…美緒ちゃんが演劇部来たとき、“奇跡が起きる”って思ったの。」


「“奇跡”ですか…?」

先輩B「文化祭で劇をやっても、聞こえてくるのはバカにした笑い声だけだった。

自分達に原因はあるって分かっててもさ…すごく、悔しかった。」



先輩C「だから美緒ちゃんが来たとき“神様からの贈り物”だって本気で思った」


「アタシはそんな大層なものじゃ…」

先輩D「でも“贈り物”なんかじゃなくて、美緒ちゃん自身が俺達の神様だった。」



「……っ」



先輩E「言い過ぎって思うかもしれないけど、マジでそう思った。」

先輩A「そして、本当に奇跡が起こった。」

先輩C「すごーく楽しかったよ美緒ちゃん。」

先輩A「美緒ちゃんは演劇が嫌になっていたアタシ達にもう一同、演劇の楽しさを教えてくれたの。」

先輩B「美緒ちゃんのおかげで、アタシ大学でも演劇やりたいって思えた。」


先輩E「そいつだけじゃない。俺達全員の未来を美緒ちゃんは明るく変えてくれた。」


先輩C「美緒ちゃんに出逢えて、一緒に舞台やれてよかった。」




先輩一同「ありがとう。」


先輩達は涙目になりながら次々と美緒にありがとう。ありがとう。と繰り返す



「アタシが…先輩の未来を明るく変えた?」

先輩A「そう。美緒ちゃんに出会えたことこそが奇跡だったんだよ。」

先輩B「だから美緒ちゃんには何があっても演劇を続けてほしいよ。
アタシ達に起きた奇跡をもっとたくさんの人に起こしてほしい。」





「……先輩」



美緒は涙を流していたがその目には“決意”みたいなものが見えた





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