たとえばあなたが



11月8日、日曜日。

朝8時に、小山は寝室のカーテンを開けた。

シャッと気持ちの良い音がして、眩しい朝日が部屋に色をつける。



文句なしの、晴天だ。



小山は窓越しに広がる空を眺めて、深呼吸をひとつした。

マンションの自動空調のせいで空気が乾燥していて、咽喉が渇いていた。

そのせいで少しむせながら、ベッドにパジャマを脱ぎ捨てた。



寝室を出てリビングを通り過ぎ、キッチンでポットのスイッチを入れてからバスルームに向かう。

ひんやりとした空気が小山の体を包み、秋の終わりを感じさせた。



熱めのシャワーを勢い良く浴びる。

小山は、この一気に目が覚める感覚が好きだった。



まだ越してきたばかりのこの部屋のシャワールームは、広くて快適だ。

やはりここに決めて良かった、と改めて満足した。



今日は、初めてのデートだ。

先につながるかどうかの、大事な一日。

失敗しないようにしなければ…―




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