たとえばあなたが



崇文は鋭い目つきで省吾を見て、

「中西刑事の周辺の人間を調べてくれないか」

と言った。



「家族とか親友とか、誰でもいい」

「誰でもいいって…」

「とにかく中西と近い関係にいる人物を探すんだ」

「そんなこと…どうやって探せばいいんです…?」

省吾は、崇文と千晶を怯えた目で交互に見た。

「簡単よ」

尻込みする省吾に、千晶が小さく笑みを浮かべて言った。

「また万引きして捕まればいいのよ」



「そんな…」

わざわざ警察に捕まるのは、さすがに気が引ける。

「できませんよ、そんなこと。自分、もう万引きからも足を洗うつもりで…」

「もう何度も捕まってるんだから、あと一度や二度、何てことないでしょ」



千晶は苛立ちを隠せない様子で、吐き捨てるように言った。




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