たとえばあなたが



ブブブブッと振動が長テーブルに伝わり、端の席で突っ伏して寝ていた従業員を起こしてしまった。

「あーっ、すいません…」

崇文がペコペコ頭を下げると、従業員は何も言わず、また顔を腕に埋めた。



(疲れてんだなぁ…)

ぐるりと食堂を見回すと、視界に入るだけでも数人が同じように突っ伏して休憩している。

これもまた、見慣れた年末の風景だった。



「さて…」

どうせ千晶あたりだろうと携帯に目を戻すと、

【CALLING!萌ちゃん】

の文字が目に入った。



(んっ?!)



萌とは、ときどき千晶と3人で食事をしたりする程度の、浅い間柄だ。

珍しい相手からの着信に、崇文は慌てて通話ボタンを押した。




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