たとえばあなたが



今日、萌の浮き沈みが激しかったのは、この不安のせいだった。

ずっとひとりで、出ない答えを探して、千晶に近づこうともがいていた。


「…俺、これだけはわかるんだけど」

崇文は、萌が明るい色の髪をそっと揺らしながら泣くのを見るのがつらかった。



「千晶にとって、萌ちゃんは誰も代わりなんてできないほどの親友だよ」



そう言うと、萌は消え入りそうなほど小さな声で、

「…そうかな」

と呟いた。

「…そうだよ」

そうなんだよ、萌ちゃん…―



崇文は知っていた。

萌を不安にさせている原因を。

萌にも言えない、千晶の事情を。



だけどそれは、崇文の口から萌に言えることではなかった。



「泣かないでよ、萌ちゃん。俺…」

笑ってる萌ちゃんが、好きだよ。








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