たとえばあなたが



寒さのせいかトラウマのせいか、指が震える。

それを見て、千晶がからかい半分に言った。

「武者震い?」

「お前、ほんっとうるせー!」

崇文は思い切って発信ボタンを押した。



「…くっ!」

ケラケラ笑う千晶を背にして、崇文は電話を耳に当てた。



こんなふうに軽口をたたいたり笑ったりしていても、千晶が無理をしていることはわかっている。

千晶の言う通り、マスコミとの競争になっていることも間違いない。



(早く解決の糸口を見つけたいのは、俺だって同じだよ)



それでも、だからといって、こんなことって…―



トゥルル…プッ

『もしもぉ~し』



こんなことって、あっていいのだろうか…。




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