たとえばあなたが
『実は今日、佐山さんとランチに行ったんだけど、そこで説教された』
「説教?」
何かと思えば、やけに突拍子もない話だ。
『彼氏なら、彼女の様子の変化にもっと敏感になれって』
「変化って…」
『千晶が元気ないって心配してたよ』
「……」
また萌に、余計な心配をさせてしまった。
千晶は自己嫌悪でいっぱいになった。
そもそも、悪いのは崇文だ。
和子の一件以来、情緒不安定になっていることは、千晶自身も自覚していた。
だけど、そんな個人的な感情を表に出したくないと思ってがんばって生活していたというのに、そんな矢先の崇文のあの態度。
思い出すたびに、頭に血が上る。