女王様はメイド様?!①【完】
「ってわけ可笑しいでしょ?」


そう最後にじぶんで笑って見せた。

笑わないとやってらんないから。

また泣きそうになるから。

笑って見せたはずなのに
翔は笑ってもくれない。


ただ、ただ、

うつむいて考えがごとをしてるみたいだ。


「翔?」


おーいと翔の前で手をヒラヒラした。



「!!!!」



一瞬だった。



あたしはすっぽり翔の腕の中。


翔に抱きしめられていた。


「翔?」







「泣けよ……」


「我慢すんな」


泣く?


なんで?




「辛かったんだろ?
さっき怖くなかったのかよ…」


辛かったのだろうか…


でもあたし…


さっきは怖かった……


翔にそういわれはじめて
自分は怖かったんだと思った。



そうおもうと全身の震えがとまらなくなっていた。


「うぅっぐすぅぅうううう」


震えてるあたしを翔は
ぎゅっと強く抱きしめてくれた。



抱きしめてくれる翔の胸は温かかった。



あたしは思いっきり翔に抱きついて


恥ずかしいくらい声をだして泣きじゃくった。


そんなあたしの頭を優しく撫でながら


何も言わずに翔はただずっと抱きしめてくれた。



人前でこんなに泣いたのははじめてだった。


いままでたまっていた涙が
溢れ出してとまらなかった。



あたしこんなに涙もろかった?



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