君へ。

No.42


―辛かったこと。

楽しかったこと。

色々あったけど

どれも私にとって大切な思い出。
























「何も変わってへんなー」


「ほんまやね。」


「まぁ、お前の体形は変わったけどな。」


「何やねん!それ!!」


「嘘やってー(笑)」













公園の砂には


車椅子の車輪の跡と


私の小さな足跡だけが


ついている。
















「なんかさ、」


「?」


「泣いたり、笑ったり、いっぱいあったな」


「・・・そうやね」






















今までの


陸との思い出が


頭の中を


駆け巡った。
















「俺、思うねん」


「ん?」


「泣いたのも、苦しんだのも、笑ったのも良い思い出やって。」


「・・・うちも、やで」


「え?」


「うちにとっても全部、良い思い出。」


「ほんま?」


「ほんま。」























握っていた手を


一度 離して、


また


手を握る。





















「好き。」


「へ?」


「好き。」


「急に何やねん(笑)」


「此処で"好き"って言った事も良い思い出になるかなって思って。」


「・・・たしかに、な。」












陸は少し笑って、


私の唇に


自分の唇を


重ね合わせた。
















「好き、やで。」














また一つ


君との思い出が


増加した。


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