フォトブック
出会い
side 由姫乃


ピピピピ・・・
私の耳元で目覚まし時計が音をたてる。
私は意地でも起きない。
鳴り響く目覚まし時計に、顔をしかめながらも私は耐えた。
・・・バタンッッ‼
「ちょっと、由姫ッ‼うるさいわよ、朝から‼」
お母さんが怒鳴りながら部屋に入ってきて、時計をパチンととめる。
そして、私が丸くなってはいっている布団を、思いっきり引っ剥がした。
いきなり冷たい風が体に触る。
私は寒さに耐えながらも、母に背を向けた。

・・・私は今日から高校1年生。
思い出したくもない出来事。そう、私は受験に失敗したのだ。
親友の愛花とも相談して、一緒に決めた高校。
制服も可愛くて、綺麗な学校。
私はこの学校に一目惚れした。
憧れの高校。中学からの親友。私には、どこよりも条件が良くて、
ここ以外なんて、考えられなかった。
思いのほか、偏差値が高くて、頑張った受験勉強。
愛花と一緒に合格祈願に行って、励ましあった。
毎日毎日、徹夜で勉強して、頭にたたきこんだ。

なのに、私だけ落ちた。
愛花には本当に申し訳なくて、頭が上がらなかった。
一緒に頑張ったのに。
一緒に頑張ったのに。
私には、もう希望がなくなってしまった・・・
絶対に受かると思ってた。愛花と一緒に合格できると思ってた。
結局、私の考えは甘かったんだよね・・・。

私は第2希望の学校に行くことになった。
でも正直、その学校に行く気は全くなかったから、適当に選んでしまった。
うちからすぐ近くの、普通~~~の学校。
最悪・・・
行きたくないなァ・・・・・・

「こらッ由姫‼ぐだぐだ考え込んでても仕方ないのよ‼早く起きて、学校行きなさい‼」
お母さんは乱暴に扉を閉めて出て行った。
私は重たい体を起こして、リビングへ向かった。
キッチンから香ばしい香りがしてきた。

ドンッ
「おいおい、前見て歩けよ~」
前にはニコニコしたお兄ちゃん、悠哉が立っていた。
悠哉お兄ちゃんは、優しくて、カッコ良くて、頭も良くて・・・
とにかく自慢のお兄ちゃん。

私は椅子に座って、テーブルの上に置いてある朝ごはんを、適当につまんだ。
今日は、クロワッサンやらスクランブルエッグやら、色々あった。

お母さんの料理は、何気においしかった。
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