この出会いが奇跡なら-上-

優しい君-Kouki-






……正直、驚いた。



目の前に桜がいたこと。



大丈夫?と声を掛けてきてくれたこと。




……何で。



成斗達以外、

俺を気にかけてくれる奴なんて今までいなかった。

みんな知らんぷりだ。



何でだよ、俺に構うなよ。



「手当てしてあげる。その顔じゃ歩けないでしょ」って、俺にそう言ってくれた。


歩けないとか、そんな事はどうでもいい。



俺は誰に対しても優しく接するお前に、

少しだけ心がくすぐられたような感じがしたんだ。



くすぐられたって言うか、何て言うか、上手く言えないけど、優しさってものが久々に肌に感じた気がした。




……駆けつけて、大丈夫?と言ってくれた時から、きっと分かってた。



……お前は優しいって。






優しくすんな。



俺が俺じゃなくなるだろ。




< 59 / 203 >

この作品をシェア

pagetop