*エトセトラ*
そして、いよいよ迎えた研修旅行。和泉君は最後まで渋っていたけど何とか説得して無事参加できた。



もちろん研修期間中は、毎日和泉君への連絡は欠かさない。出発前にも何度も約束させられた。

「おはよう」と「おやすみ」の連絡は必ず入れろと言われていたし、自由時間の夜は和泉君からも毎日電話をくれる。

そのおかげか、それほど離れている感覚はなかったけど、やはり「会えない」事実に寂しさは募っていく一方で。

加えて、毎日電話で声を聞いているせいで、日に日に恋しくなってしまう。


……一週間なんてすぐだと思っていたのに。




『モカ、早く会いたい』

和泉君も同じく思っているようで、電話をするたびに『帰って来い』と催促される。

それはムリだよ、と笑って返すけど、正直なところ、もし帰ってもいいと言われたら本当に帰っちゃいそうな勢いだ。

それほど、会いたい気持ちが募っていく。

和泉君には笑ってたけど、私の方がまいっちゃってるよ……

言うなれば、プチホームシック状態。



『長い。一週間がマジで長すぎる。まだ終わんねえの?』

「ほ、ほら!あさってには帰るからさ!」

『あと2日もあんのかよ…。早く帰ってこい。モカがそばにいないと落ち着かない』

「うん…」

『あさって、迎えに行くから。空港で待ってる』

「うん…ありがとう」


ああ、やっぱり声を聞くと余計に会いたくなってしまう。しかも、和泉君が私を求めてくれているせいで、さらに気持ちは膨らむ。

ドキドキする胸を押さえながら、なるべく平静を装って電話に応えた。

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