*エトセトラ*
「ご、ごめん結衣ちゃん…銀次怒らせちゃった」

「…みたいですね」


お互い冷や汗をかきながら引きつった笑いを浮かべた。あんなに怒るとは…。


たぶん、いや、間違いなく銀次はここに来る。

……逃げるか?

いやいや、結衣ちゃんを置いて逃げるわけにはいかない。


まずいな…銀次を怒らすと怖ぇからな…。



そんなことを考えているうちに時間は過ぎ、店内からバンッ!と乱暴に扉が開く音が聞こえた。

…もう来たのか?

姿はまだ見えないが、なんとなく不穏な空気が漂っている。

絶対に銀次だ…。
来るの早くねえか!?


結衣ちゃんが俺の後方に顔を向けた。その顔はみるみると青ざめている。


間もなくして、俺のすぐ後ろに人が立つ気配を感じた。

「よお。随分と楽しそうじゃねえか」

恐る恐る振り向くと、そこには般若のように恐ろしい顔をした銀次が立っていた。


「ぎ、銀次!!怒るな!!ホントに偶然なんだってば!!」
なぁ結衣ちゃん!と同意を求めると結衣ちゃんは「はい!」とブンブンと頷いてくれた。

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