*エトセトラ*
今日は残業か……。

ガックリと肩を落としている俺なんて銀次は気にも止めず、結衣ちゃんに向いている。


「結衣、帰ろう」

「は、はい…」

「まったく心配かけさせて……帰ったら、覚えとけよ?」

そう言って銀次はにこーっと結衣ちゃんに笑顔を向け、結衣ちゃんは、ひぃっと青ざめている。


……2人の夜も長そうだな…。


「じゃあな、志銅」

「志銅さん、また今度…」

「はいはい…」

そして、銀次は結衣ちゃんをしっかり抱いたまま店内をあとにした。



嵐は去った…。

さて、俺もさっさと会社に戻るか。銀次が残してくれた仕事がある。

続いて店から出ると、まだ前の方で歩いている2人の姿が見えた。


ピッタリと寄り添いながら、時折銀次は結衣ちゃんの頭にキスを落としている。若干結衣ちゃんは嫌そうにしているが。


人目もはばからずベッタベタだな…。あれはホントに銀次か…?
今までの銀次では考えられない。女に本気になるなんてあり得なかった。

人ってあんなに変わるもんかね…。

2人を眺めながら思った。


俺も女の子は大好きだが、あそこまでなることは考えれられない。一人の女の子より、いろんな子と遊んだ方が絶対楽しいに決まってる。



でも……。

俺にもあんな風に大切にしたいと思える子に出会えるんだろうか。



何よりも大切だと思える相手を見つけた銀次を、少しだけ羨ましく感じた。




★おわり★

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