*エトセトラ*
……ん?

この表情に、頭の隅で何かが引っ掛かった。



待てよ……この女どっかで見たような……

どこだ…?



思い出そうとしていると、ここで、「彼女」というフレーズが頭をよぎる。





あ。

もしかして、こいつ、あの時の…


「…あぁ」

ようやく、色々と思い出してきた。



そういや、そんなこと言って逃げたな。

完全に俺のせいじゃねえか。


自分で蒔いた種だが、ここまで騒ぎ立てられると余計面倒くさいだけだ。さっさと否定して終わらせよう。

あの場限りの嘘で、もちろん引きずるつもりもない。

サエコに向かって口を開きかけた瞬間、ここでふと、俺の頭にある考えがよぎった。



……ここで否定したら、またサエコに言い寄られるんじゃねえか?

例え避けられたとしても、他の女がまた新たに出てくる可能性もある。事実、サエコの他にも言い寄ってくる女はいた。

面倒事を避けるために校内の女には一切手を出していないのに、どっちにしろ同じなら……


だったら、いっそのこと「彼女」を作ればいいんじゃね…?


これ以上、どうでもいいことに巻き込まれたくない。

「彼女」という防波堤を作るだけで、それが叶うのなら……






―――よし、決めた。

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